絹だより
第205号 〈平成23年4月1日〉

発行:社団法人日本絹業協会・ジャパンシルクセンター
ホームページ http://www.silk-center.or.jp/
高崎の紅絹と紅板締めの復元(1)
たかさき紅の会 代表 吉村晴子  

 赤は火の色命の色として神秘的な力を持ち、浮世絵に描かれる女性の襟元に裾先にこぼれる細やかな紋様の紅の色は艶めいて日本美の深い情趣を感じさせます。地味な彩りの表着と紅染めの間着や襦袢を取り合わせて装い、見えないところに驚くほどの美を入れる美意識を生み出しました。艶やかな光沢の紅絹は身に付けて心地よく保温効果ありとして身を守り、紅白絹は祝福や願いの色として人々の暮らしに深く愛好されていました。女性を優しく包んだ紅絹や紅板締めの染色が高崎から消えて、長い刻を経ました。
 高崎周辺の西上州は古くから養蚕から製織までのすべての工程を一貫して行い、農家の副業として繭から引いた生糸や玉糸を手織り(いざり機)で織り、精練や染色など仕上げ工程はのこしたままの平織りの生絹や太織が生産されました。繭の品質や糸により本耳絹、糸好絹、散好絹などの呼び名で絹市場で売買され、「お江戸見たけりゃ高崎田町」と唄われる賑わいでした。高崎には榛名、妙義山から流れ下る良質な水と豊富な生絹の取引により、精練染色加工の染色業が発達しました。


 紅絹

 私の家は昭和7年まで北関東一の紅染め専門の染工場でした。初代吉村平兵衛は武州熊谷で蘇芳染めの技を習得し、弘化2年(1845)高崎相生町で開業、当主は代々平七を名乗り、紅染めの専門工場として工夫を積み重ね、明治8年に新たな化学染料を使った「猩猩紅染め」の研究を始め、2年後第1回内国博覧会に出品しています。明治18年には色落ちしにくい染色技術「堅牢紅染め」を開発し数年後には京都にも劣らない染めとなり高崎絹の名を高めます。
 明治26年に煉瓦造り3階建ての工場の前に絹問屋から受けた山のような白絹をつみあげた職人の姿が見られる写真が残っています。明治45年(1912)4代吉村平七が中心となり高崎染業組合で県の技師を招いて化学染料の講習会を行い、市の援助を得て研究所を作り会報の発行、大正5年(1916)高崎絹市場にて聯合協議会主催の展示会を盛大に開催しています。この頃高崎の絹問屋が京都に頼んで染めていた金額が70万円に達したといわれ地元の需要を目指して懸命に活動していました。
 紅染めは日清戦争後全盛期を迎え日露戦争あたりから次第に衰微し、大正期には再び流行しました。大正4年欧州大戦での驚異的な染料高騰があり、昭和になり統制経済、洋風化など時代の変化に伴い、昭和7年(1932)創業から87年にわたった吉村染工場の歴史に幕を下ろしました。祖父4代平七は堅牢紅の仕事に励み、その覚書や紅絹染め取引の大福帳・工場票等の帳簿と共に、紅板締めの型板が残されていました。


 紅板締め

 平成13年頃から群馬県繊維工業試験場の新井正直氏らと共に資料の調査をはじめ、私の主宰している「染め工房はるる」のメンバーの賛同を基にたかさき紅の会を立ち上げました。平成17年に「群馬県文化の芽」の指定を受けて文献考察をまとめた「よみがえる紅 高崎の絹と染工場」を発刊。残されていた型板や紅板締めの間着の展示会や広報活動で反響いただき、昭和初期を最後に途絶えていた幻の染め技法の紅板締の復元を強く思い立ちました。
 吉村染工場では明治22年に紅板締めを開始し36年第五回内国博覧会に「糸好二重板締め」を出品しています。絹生産の地元に型板が揃ってあったことはたいへん意味あることということでした。京「紅干」の型板が大量に収集されている千葉の国立歴史民族博物館に文化財資料として研究保管されている状態を見学して、在野民間の高崎に残った型板の自由な活用の意味を確認しました。
 「型板に白絹を挟み締めやぐらに架けて赤染料を柄杓にて掛ける」という簡単な記述を頼りに、その後18回にわたる試作は紅の会の皆が問題点を考え発想し工夫を重ねました。残されていたのは12枚1組の7種類の模様の型板と、その他に彫りかけの板がありました。この撫子模様を元に新しく彫り上げ平成の4枚組の型板を製作し、旧型板と新板の両方を使用しました。締め枠も旧の楔型とボルト・ナット使用の新型を作成しました。白絹はいろいろ種類を変えて試作してみましたが、新たに羽二重(目付け6匁・1反112g)の薄い白絹を特注して試みた結果、模様をはっきり出せる事が出来ました。
(以下次号)

(写真は上から◆
紅印のある白絹と紅絹◆型板、!飛び鶴ぼたんに蝶しょうぶ菊にまがき◆型板の重ね◆白絹を折りたたむ)

 

 

平成22年度第7次分
純国産絹マーク使用許諾について
社団法人日本絹業協会  

 純国産絹マークの平成22年度第7回審査会を3月30日(水)に開催しました。今回、15件(うち、新規の申請3件、生産履歴の追加申請が1件、製品・数量の追加申請が6件、数量の追加申請が3件、、製品の追加申請が1件、生産履歴・数量の追加申請が1件)から申請があり、審査委員会で審査した結果15件に対し、4月6日(水)付けで純国産絹マーク使用許諾する旨を通知しました。

純国産絹マーク使用許諾者は次の15件です。

純国産絹マーク使用許諾企業名
(表示責任者名)
表示対象
製品名
表示対象
数量
生産履歴の内容
(提携養蚕農家・企業等)

有限会社明石屋
代表者名 宮川 晃
東京都調布市上石原1−39−1
(担当者:宮川 晃)
Tel 042-482-4832

表示者登録番号 145

後染反物
(色無地)
帯地(後染)

   10反
   10本
制作企画 (株)丸上
繭生産  茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  三共織物(株)
染 色  小林染工房、(株)菱健、(株)路考
     きもの和楽、(株)貴久樹

宮井株式会社
代表者名 宮井 宏明
京都市中京区室町通六角下ル
      鯉山町510番地
(担当者:宮井宏明)
Tel 075-221-1076
表示者登録番号 146

和装小物
(風呂敷)


  800枚
繭生産  岩手県北部養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  丸仙(株)
染色加工 自社
株式会社ナカノ
代表者名 中野 剛至
大分県大分市大道町1−6−15
(担当者:中野剛至)
Tel 097-544-0308
表示者登録番号 147
後染反物(小紋)
(変一越)
(紋意匠)

   30反
   30反
制作企画 田中種(株)
繭生産  JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  南久ちりめん(株)、芝井(株)
染 色  高田勝(株)

(生産履歴の追加)
田中種株式会社
代表者名 田中 隆
大阪市中央区南本町2-1-8
   創建本町ビル3F
(担当者:田中 隆)
Tel 06-6261-2091
表示者登録番号 060
後染反物(小紋)
(紋意匠)
   10反 繭生産   JA碓氷安中管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  芝井(株)
染 色  高田勝(株)
(製品・数量の追加)
日本蚕糸絹業開発協同組合
代表者名 小林幸夫
群馬県高崎市問屋町3−5−3
(担当者:土井芳文)
Tel 027-361-2377
表示者登録番号021
胴裏絹
(酵素精練)
(パールトーン加工)
(新小石丸)

帯地(漆糸5%以上)
(冬物)
(夏物)


 1200枚
 2000枚
  120枚


  100本
  100本

制作企画 絹小沢(株)
蚕品種  新小石丸・ぐんま200
     世紀二一
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  (有)長島織物、(株)カブト
     佐啓産業(株)
精練加工  (有)江島屋染工場、
      (株)パールトーン
染色加工 小池染色(有)
(数量の追加)
株式会社竹田嘉兵衛商店
代表者名 竹田 浩己
名古屋市緑区有松1802番地
(担当者:竹田浩己)
Tel 052-623-2511
表示者登録番号 126
胴裏絹
(酵素精練)

  300枚
制作企画 日本蚕糸絹業開発(協)
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  (株)カブト
精練加工 (有)江島屋染工場
株式会社荒井呉服店
代表者名 荒井 芳枝
東京都八王子市八日町9番8号
(担当者:荒井 芳枝)
Tel 042-625-5291
表示者登録番号 081
胴裏絹
(酵素精練)

  120枚
制作企画 日本蚕糸絹業開発(協)
繭生産  群馬県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  坪金工業(株)
精練加工 (有)江島屋染工場
(製品の追加)
装いの道株式会社
代表者名 山中 英靖
東京都千代田区麹町4丁目4番1号
(担当者:山中英靖)
Tel 03-3230-3010
表示者登録番号 070
後染反物
(本藍染)
(江戸更紗)
(京友禅)
白生地
帯地

   20反
   30反
   40反
   10反
   50本
蚕品種  いろどり
繭生産  JAちちぶ管内養蚕農家
製 糸  松岡(株)
製 織  (有)酒井
染 色  (株)二葉、矢野藍秀
     (有)酒井
(数量の追加)
株式会社平田組紐
代表者名 平田 晃
東京都豊島区長崎4丁目12番2号
(担当者:平田 晃)
Tel 03-3959-2914
表示者登録番号 097
帯締
羽織紐(男物)
羽織紐(女物)
帯締
(金銀糸5%以上)
 10,000本
  1,000本
  1,000本

  7,200本
企 画  (有)いのうえ
蚕品種  ぐんま200
繭生産  JA多野藤岡管内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
染 色  山金商店
組加工  自社
(製品・数量の追加)
株式会社猪井
代表者名 猪井 一之
新潟県長岡市柏町2丁目6番7号
(担当者:猪井一之)
Tel 0258-32-4927
表示者登録番号 101

後染反物
(色無地)
帯地(後染)


   20反
   20本
繭生産  茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  三共織物(株)
染 色  小林染工房、(株)西原
(製品・数量の追加)
株式会社たちばな
代表者名 近 文雄
新潟県新発田市中央町1丁目2番13号
(担当者:近 文雄)
Tel 0254-23-5288
表示者登録番号 102
後染反物
(色無地)
帯地(後染)

   20反
   20本
制作企画 (株)猪井
繭生産  茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  三共織物(株)
染 色  小林染工房、(株)西原
(製品・数量の追加)
株式会社丸富美
代表者名 丸山 忠一
新潟県十日町市川治1812番地6
(担当者:丸山忠一)
Tel 025-757-1588
表示者登録番号 103
後染反物
(色無地)
帯地(後染)

   20反
   20本
制作企画 (株)猪井
繭生産  茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  三共織物(株)
染 色  小林染工房、(株)西原
(製品・数量の追加)
株式会社絹もの屋まつなが
代表者名 松永 一義
新潟県三条市横町一丁目9番地14号
(担当者:松永一義)
Tel 0256-32-0101
表示者登録番号 104

後染反物
(色無地)
帯地(後染)


   20反
   20本
制作企画 (株)猪井
繭生産  茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  三共織物(株)
染 色  小林染工房、(株)西原
(製品・数量の追加)
有限会社金屋
代表者名 矢澤 哲也
新潟県上越市稲田2丁目2番5号
(担当者:矢澤哲也)
Tel 025-523-2789
表示者登録番号 115
後染反物
(色無地)
帯地(後染)

   20反
   20本
制作企画 (株)猪井
繭生産  茨城県南地域養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
製 織  三共織物(株)
染 色  小林染工房、(株)西原
(生産履歴・数量の追加)
株式会社銀座もとじ
代表者名 泉二 弘明
東京都中央区銀座4−8−12
コチワビル3階
(担当者:青江良和)
Tel 03-5524-3222
表示者登録番号 011
白生地
(長襦袢)
(着尺)
 
 
(帯地)
 
お召し
大島紬
結城紬
 
染織作家作品
(紬着尺・帯地)
 
白生地
(八掛)
 
染織作家作品
(男女帯地)
 
(着尺)
 
   54反
   18反
   25反
 
   45本
   20本
   40反
   40反
   12反
 
 
    5点
    8点
 
   30枚
 
 
   12点
   12点
    5反
蚕品種  プラチナボーイ
繭生産  千葉県、茨城県内養蚕農家
製 糸  碓氷製糸農協
真綿掛  佐藤米子
糸取り   水野商店、矢野まり子、山岸幸一
製 織  江口機業(株)、(有)坪井商店
     田勇機業(株)、南久ちりめん(株)
     (株)桝屋高尾、(有)益田織物
     添野重子ほか
染 織  矢野まり子、山岸幸一
     下井つむぎ庵、工芸藤山
     平山八重子
  〈注〉次回審査会の予定は平成23年4月25日(月)です。申請される方は審査会の10日前までに申請書を提出してください。

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