松井機業場、インテリア関連品で販路開拓進める 伝統の「しけ絹」織物現代的にアレンジ (2011/11/22)

 松井機業場(富山県南砺市、松井文一社長)は、伝統産業の「しけ絹」織物を現代的にアレンジし、しけ絹独特の節のある表情を生かし、シェードカーテンやクッションカバーといったインテリア関連商品で新販路開拓に挑んでいる。  同社は創業130年を超す絹織物の機屋で、染めまで手掛ける。同社のある南砺市城端地区は養蚕が盛んだった合掌造りの五箇山集落にも近く、伝統産業として絹織物が栄えた。かつて36社あった機屋は今では3社になり、常時稼働しているのは同社だけだという。  同社は早くにきもの以外の販路ヘシフトし、和紙を裏打ちしたふすま紙向けを主力としてきたが、しけ絹の魅力をさらにアピールしたいと、今年度から国の地域産業資源活用事業計画の認定も受け、インテリア分野へのアプローチを始めた。  しけ絹とは、まれに出来る2頭の蚕が1個の繭をつくる玉繭を使った生地で、玉繭から出来る節のある糸(玉糸)を緯糸に使うことで独特の表情が生まれる。この表情を生かし、シェードカーテンやマルチパネルのパーテーションなどのサンプルを作成したほか、蚕が最初に吐き出す太い糸「きぴそ」を使って柿渋染めなどしたクッション側地なども試作、10月に開かれたJFWジャパン・クリエーションと家具・インテリアの総合見本市「IFFT/インテリアライフスタイルリビング」、今月開かれた中小企業総合展に出展した。  シェードは1メートル当たり無地が1900円、染めが2100円ほど。しけ絹のシェードは光を柔らかく変えるだけでなく、UV(紫外線)カット効果や断熱性もあり、これらの魅力をアピールし、インテリア関連の問屋や専門店、建築デザイナー、工務店などの販路を開拓する。

丹後織物求評会 伝統と革新を融合 産地活牲化へ多彩な提案 (2011/11/22)

 京都産業会館(京都市下京区)で開催された「第62回丹後織物求評会」が18日閉幕した。主催者である丹後織物工業組合が創立90周年を迎えた今回は「織り伝える美-百年伝承ヘ-」がテーマ。出展企業35社が和装・洋装それぞれで多彩な素材を提案し、丹後産地の活性化を図る新しい試みが見られた。 若い男性にも着物を 絹友会  昨年に引き続いてチャレンジブースを設置したのは組合に所属する40歳以下の若手が集まる青年団体「絹友会(きゆうかい)」。「漢(おとこ)の着物」をテーマに、とくに若い男性を意識した「男らしく力強い、現代のセンスに合った」ものを着物と帯のコーディネートで提案した。絹友会の養父孝昭会長が「今回の目玉」と語るのは絵羽柄の男性用着物。背面に竜の紋様がジャカードで表現されており、来場者の注目を集めていた。 ポリエステルちりめん 宮眞  婦人向けに洋装服地を生産販売する宮眞はポリエステル使いのちりめん服地を提案する。表面感に特徴のあるストレッチカットジャカード、オパール加工を施すことで鮮やかな柄を表現したレーヨン交織素材など、多彩な商品提案で企画開発力をアピールした。ポリエステルちりめんは10数年前から別注で生産していたもの。好評を受けて今では同社を代表する定番商品になっている。ちりめん専門アパレルに加え、近年では若い年代向けのセレクトショップでも一部取引があるという。 多彩な生地を提案 創作工房糸あそび  創作工房糸あそびは「服地は1メートルから、着物は1反から」がモットー。手絣染めした絹糸やシルクモール糸を使い、自社で保有する10種類以上の織機で手織りからジャカード、絡み織り、ドビーなど様々な織り技術を駆使した多彩な生地を展開している。生地の販売が主体だが、レディース向けにマフラーやストール、バッグなど製品ビジネスの取り組みも始めた。今回展で審査会に出品した、経糸に110色の糸を使ったストールが京都府知事賞を受賞した。 縫取でユニークな柄を 柴田織物  丹後ちりめんの中でも全体の4%しか生産されていない「縫取(ぬいとり)ちりめん」織物を手がける柴田織物は従来の着物の意匠とは違った柄を出品した。縫取で猫の姿を表現した「絵羽 猫」のほか、ペイズリーなど西洋感覚の紋様に3色の引き染めを施した「ペイズリーオーナメント」「リングオーナメント」など遊び心ある織物を提案した。  柴田祐史代表は「作っている人の価値観が変われば、丹後産地はもっと変わる」と産地活性化への思いを語る。昨年から養蚕を開始しており、将来的に丹後産地で生糸・絹糸・絹織物の一貫生産を目指しているという。「消費者の目線に立って、丹後産地としてやるべきことを考える必要がある」と指摘した。 ◇  今回、展示の初日16日には、組合員35業者から出品された181点の作品を対象にして審査会が行われた。経済産業大臣賞は田勇機業の「上州絹星変り一越」、中小企業庁長官賞は同じく田勇機業の「軽目 絹透綾」が受賞した。  また、経済産業省製造産業局長賞には田勇機業の「縞経綾涛」と篠春織物の「先染 縞に丸窓」、農林水産省生産局長賞には一色テキスタイルの「意匠綸子衿一巾斜線入り色紙」、近畿経済産業局長賞には宮眞の「ストレッチカットジャカード」が選出され、吉村機業の「先染タッサーゴールド紋パレスー3m」、藤田政義の「流水紋二色通し意匠帯揚」、創作工房糸あそびの「百色糸遊ストール」がそれぞれ京都府知事賞を受賞。そのほか中健織物、安栄機業場、吉村商店、宮織が各賞を受賞した。

7月の生糸需給 生産、輸入ともに減少 (2011/11/17)

 大日本蚕糸会の集計によると、7月の生糸需給は生産57俵(前年同月比6.5%減)、輸入489俵(24.1%減)となった。国内養蚕農家の減少で生産の減少傾向が続く。輸入も大幅な減少となり、生糸需要の縮小が深刻だ。  一方、絹糸輸入は1489俵(5.3%減)と減少。4-6月の輸入が堅調だったことの反動と考えられる。絹織物輸入は78万平方メートル(0.3%減)だった。

日本絹業協会「純国産絹マーク」で11社許諾 (2011/09/15)

 日本絹業協会はこのほど、同協会が管理する「純国産絹マーク」の審査会を実施し、新たに11社に対してマークの使用を許諾した。純国産絹マークは、国産の繭から繰り糸した生糸を使い、国内で製糸、染織、加工、縫製した純国産絹製品を消費者に対して証明するマーク。今回の新規許諾で、純国産マークを使用する企業は152社となった。  今回、新たにマーク使用が認められたのは、次の通り(カッコ内は対象製品)。甲斐絹座(スカーフ)、さいとう呉服店(後染め反物)、西松屋(後染め反物)、西尾呉服店(後染め反物)、田中種(後染め反物、帯地)、ミラノリブ(スカーフ、ストール)、日本蚕糸絹業開発協同組合(裏絹、胴裏絹、寝衣)、丸万中尾(後染め反物)、千總(後染め反物)、銀座もとじ(染織作家作品)、伊と幸(胴裏絹、白生地)

成和 日本の伝統技術とトレンド融合 12春夏ネクタイ企画 (2011/08/04)

 成和(東京都千代田区)は12春夏のネクタイ企画で、「まほろば」をテーマに、日本の伝統技術と最新の技法を融合させた"メードイン・ジャパン"にこだわったコレクションを提案する。  スーパークールビズ(SCB)、節電ビズの普及でネクタイ業界が苦境に陥っているなか、改めて日本製の巧緻な技を前面に押し出したネクタイを提案することで、業界全体を盛り上げる考え。もちろん、「軽くて涼しい」を追求したSCB対応のネクタイも豊富にそろえる。  西陣の機業で織った紋紗のネクタイは、シルク100%の芯地のない1枚仕立てで、重さは22グラム。通當のシルクのネクタイは50グラムほどなので、半分以下の重さとなる。軽くて涼しげな締め心地がバイヤーにも好評だったという。価格は9000円。  その他にも、八王子産地で織ったニットタイ(9000円)や、1日に2本しか織れない手織り(フレスコ)のネクタイ、福井県鯖江市の蒔絵の職人が漆でワンポイントの柄を描いたナロータイ、若者向けのクラッシュ加工のナロータイなどをラインアップする。  ネクタイ以外の商品も充実しており、若い世代にヒットしている蝶ネクタイ、横浜で織った麻100%のジェットプリントのストール、シャツの第2ボタンに付けるアクセサリーの「スマートキーパー」(特許出願中)なども提案する。「日本のネクタイの優れた技術とトレンドを融合させることで、ネクタイの良さを改めて消費者に伝えたい」と和田社長は話す。

桐生産地 広幅は前年並みに回復も、小幅が苦戦 (2011/07/26)

 1300年もの歴史を持つ桐生産地。婦人向けのファンシーな織物を中心とした広幅織物と、着尺、帯地などの小幅織物を主に生産しており、桐生織物協同組合には140工場が加盟する。  東日本大震災の群馬県桐生市の震度は6弱。文化財的な価値のある古くからの機業の 建物に大きな被害が出た。機業の後藤は、明治初期、大正、昭和の戦前・戦後に建てられた複数の建物を有するが、瓦屋根を中心に建物に被害を受けた。今もブルーシートで壊れた部分を覆いながら操業している機業も散見するという。  震災は、とりわけ小幅織物に甚大な影響をもたらした。結婚式の自粛・取り止めが多く、和装婚礼や貸衣装の需要が激減したのをはじめ、花火大会や海水浴の自粛で浴衣の需要が減ったこともあり、受注は前年を大きく下回る状況だ。  唯一の光は、七五三の子供用着尺の受注が好調なこと。来年の成人式の注文も徐々に増えてきている。「和装は余裕がある時に楽しむもの。今は耐えるしかない」と桐生織物協同組合の後藤隆造理事長は話す。  一方で広幅織物は、震災直後こそ物流の問題で低迷したものの、4月以降は前年並みの状態にまで回復してきた。ゴブラン織やマイクロファイバーの織物を得意とする共立織物は、6-8月にかけての秋冬物の受注が前年並みとなる見通しだ。  組合の今後の予定としては、9月にパリのテックスワールドに出展するほか、10月20日-21日に桐生テキスタイル展を東京・青山のテピアで開催。ファツションブランド「エミナカニシ」の中西恵美さんが桐生のテキスタイルを使った作品を会場で展示し、ファッションとリンクした桐生のテキスタイルをアピールする。  また、群馬県の観光素材を3ヵ月にわたって紹介する「群馬デスティネーションキャンペーン」が1日に開幕。桐生市、桐生織物協同組合は、共同で「織物の街、桐生」をアピールする方針だ。

富士吉田産地 ネクタイ苦戦も、裏地、インテリアは善戦 (2011/07/26)

 キュプラなどの裏地、婦人服地、インテリア生地、ネクタイと、全国の産地の中でも品種バリエーションの豊富さでは群を抜く存在の富士吉田産地。  震災直後は、アパレルの生産調整などの影響もあり、全般的に厳しい状況となったものの、4月以降は徐々に回復の兆しが見えてきている。裏地は前年を上回るペースで好調に推移しており、婦人服地、インテリア生地も震災前の状況に戻りつつある。  しかし、以前は産地をけん引する存在だったネクタイは、かねてからの減少傾向に加えて、スーパークールビズ、節電ビズの"軽装礼賛"の影響が直撃している。富士吉田織物協同組合の勝俣明美理事長は「産地のネクタイ機業のほとんどはOEMが中心で自社ブランドを持っていない。注文を待つだけのOEMでは先がないのは明らか」と危機感を強める。  同産地で婦人服地を主に生産する機業は約10社。大手アパレルの婦人服地を中心に展開するオヤマダでは、1-2月は大手アパレルの国内回帰の影響もあり、「リーマンショック前の水準に戻りそうな気配があった」(小山田勉社長)が、震災でその流れがストップ。震災後はとぎれとぎれの状況が続いているという。  また、同産地は産地内でテキスタイル生産のすべての工程をこなせる体制が整っているが、糸を結束する「かせ」の職人の高齢化が進んでおり、歯車の歯欠けが懸念されている。小山田社長は「長年の経験と勘による技術をマニュアル化して後世に残していく必要がある」と警笛を鳴らす。  インテリア関連では、明るい兆しも見える。ハシモトヤテキスタイルでは、小売価格で15万円のシルクの布団カバーの受注が今年に入って急速に回復。中国で販売するオファーもあり、「他にない魅力のある商品なら高額でも受け入れられる」と勝俣明美会長は話す。

京都スコープ12春夏開幕 彩り鮮やか、着る喜び前面に (2011/06/10)

「京都スコープ2012春夏展」が9日、東京都港区のテピアエクジビションホールで開幕した。会期はきょう10日まで。出展は伊吹、協友、外村、吉忠京都ロマンの4社。規模は縮小しているが、「震災後の日本に元気を」という理念の下、各社が積極的な提案を見せる。  第69回目になる今回のテーマは「色彩有感」。"彩りや色合いが人体に感じられること"との意味で、復興に向け前進しようというメッセージを込めた。会場はブースの仕切りがないオープンスペースで見やすく、またインデックスコーナーとして各社の打ち出しをマップとマネキンで分かりやすく示す。  伊吹はプリントを主体にオパールやフロッキーなどの加工生地を、エネルギッシュで楽観的なイメージで展示。仏プロヴァンス地方を想起させるイエロー、ブルー、ネービーを基調とした2種に編集した。店頭で動きがいいレインウエアは、12春夏もレインコート、グッズを豊富なサンプルで提案する。  協友は「ビヨンド」をテーマにハンドプリントを中心とする先染ニット、織物を出展。天然志向の市場に向けて「イノセント&スパイス」「ワイルド&クール」などテースト別にきめ細かく提案している。  外村はシルクやウール、麻の天然素材の風合いに洗練感を加味。産地を越えての加工など独自の取り組みの成果も紹介する。前回展のトライアルを経て正式参加した吉忠京都ロマンはプリントとレース、ジャカードと付属など、テキスタイル総合コンバーターとしてのコーディネート力を示した。

農業生物資源研究所「シルクフィル」洗えるシルクわた開発 製造工程機械化でコスト低減 (2011/05/26)

 独立行政法人の農業生物資源研究所(茨城県つくば市)はこのほど、寝具製造の丸三綿業(群馬県高崎市)と共同で繭から手作業で作られる真綿(まわた)とは異なり、製造工程の機械化によって製造コスト低減が可能なわた「シルクフィル」を開発した。  真綿と同じ暖かさ、吸湿性、放湿性を持つとともに、真綿以上にかさ高性や圧縮回復性があり、水洗いも可能、ジャケット、ひざ掛け、ストールなど布団わた以外の用途でも活用できる。  シルクのわたとしては、古くから真綿がある。繭をアルカリ水で煮て柔らかくし、30センチ角に手で広げて乾燥することで製造され、軽くて保温性に優れているため、保温素材として防寒着やふとんの中わたなどに利用されてきた。しかし、製造工程がすべて手作業のため、どうしても高価なものとなっていた。  同研究所では以前、繭から繭糸を引き出し、すぐに乾燥させて枠に巻き取り、繭糸のクリンプ状態を残した「シルクウェーブ」を開発したが、繭糸表面のセリシンを残したままで、水洗いができず、洗濯はドライクリーニングに限られるという難点があった。  今回開発したシルクフィルは、製造方法では大量の繭から一斉に繭糸を引き出すシルクウェーブと同じであるものの、引き出した繭糸をぬれた状態のまま大枠に巻き取り、巻き取った糸を精練してセリシンを取り除き、フィブロイン繊維だけにすることで、繊維をほぐしてわた状にし、布団に加工した。ほとんどの工程は機械化が可能で、製造効率が向上するとともに、製造コストも製品によって異なるが、真綿に比べ3分の2から2分の1へと抑えることができた。さらに水洗いもできる。  実際、わたとして市販されている綿、ウール、カシミヤ、ポリエステル、真綿とシルクウェーブ、今回開発したシルクフィルについてかさ高さを比較した結果、シルクフィルは最も優れたポリエステルに次ぐかさ高さがあった。重量感についてもシルクフィルは真綿に次いで軽く、わたを圧縮した時の回復性や抵抗感(圧縮剛さ)でも、最も優れたシルクウェーブに次ぐ優位性を示した。  シルクフィル布団を用いてモニター試験を行ったところ「体にフィットして熱が逃げず、とても温かい」「布団が柔らかく、肌触りが良い」など、高い評価も得られた。  シルクフィルの持つ保温性、吸湿性・放湿性、柔らかさなどの特性を生かし、寝具以外の用途として、ジャンパー、コート、防寒用下着、ストール、膝掛け、手袋、スポーツウェアなどの中わたへの多方面の利用を期待。このシルクフィル布団については国内だけでなく、海外への輸出も期待できる。

サクラクレパスが和装小物 (2011/05/10)

 サクラクレパス(大阪市中央区)は、節電志向が強まるとみられる夏場の商品として、せんすの「さくら扇子シリーズ」と手ぬぐいの「和粋nagomi-iki手ぬぐい」を発売する。  「扇子シリーズ」は純和風柄の綿使いを5柄とグラデーション6柄の絹使いの2シリーズをそろえ、携帯しやすい差し袋が付属する。「手ぬぐい」は日本的な特色や味わいのある品(和=わ・なごみ)と身なりや振る舞いが洗練されていて、格好よいと感じられること(粋=いき)をコンセプトに開発した。染めには「注染」を用い、小花や桜、流水紋など6柄で展開する。価格は綿使いの扇子が1050円、絹使いが2100円、手ぬぐいが840円。